レイ・カーツワイル著「THE SINGULARITY IS NEAR」(シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき)が書かれてから10余年が経ったのだが、人類は本当にシンギュラリティ(技術的特異点、または2045年問題)へ向かっているのだろうか。
そこで、「THE SINGULARITY IS NEAR」で言及されていた各技術分野について、現代の技術レベルを象徴するニュースを集めてみた。
また、今回は特に、『医療・ナノテクノロジー分野』を対象にした。
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脳神経を変容、光で制御する「オプトジェネティクス」
2006年ほどから研究されている「オプトジェネティクス」という技術を使うと、光の刺激によって脳神経を制御できるようになる。また、事前に脳神経を変容させておくことが必要なようだ。
光遺伝学(optogenetics、オプトジェネティクス)とは、神経回路機能を調べるため光学と遺伝学を融合した研究分野。脳神経系における情報処理を理解するため、哺乳類やその他の動物においてin vivoでのミリ秒単位の時間的精度をもった制御を特徴とする。
光で脳/神経科学に革命を起こす「オプトジェネティクス」 | Chem-Station (ケムステ)
「オプトジェネティクス」はいかにして開発されたか | Chem-Station (ケムステ)
心不全患者の心臓に貼り付ける「ハートシート」
2016年、テルモが「ハートシート」という細胞シートの製造販売承認を取得した。患者の大腿部から採取した筋肉組織を使って、組織内細胞を培養してシートを作るものだ。この技術を使うと、拒絶反応が出ないのだという。
がん細胞に薬物を届ける「ナノミセル」
東京大学医学系研究科の片岡一則教授らが開発した「ナノミセル」という物質を使った技術を使うと、カプセルを標的となるがん細胞まで到達させてから、薬を放つことができる。この技術により、薬を血中で分散させることなく、がん細胞を直接攻撃することができるのだという。
脳へのがん転移を治す「微小ナノ粒子」
米国シダース・サイナイ・メディカル・センターの研究グループが、微小なナノ粒子の作成に成功した。この技術を使うと、「血液脳関門」を超えて脳内に転移したがんを攻撃できるのだという。
臨床試験段階となった「人工血液」
イギリスの国民保健サービスが、人工血液の臨床試験を開始するという発表を行ったようだ。この技術を使うと、慢性的に不足しがちだった輸血用血液を代替可能になるのだという。
人間の寿命を100歳以上延ばす「不老不死研究」
Googleが推進するプロジェクトにより、キャリコというベンチャー企業が生まれた。キャリコでは不老不死技術について研究しており、「人間の寿命を100歳以上延ばす」ことを目標にしているのだという。
精子をモデルにした「生体複合型ナノボット」
米国イリノイ大学の研究グループが、精子の構造を参考にしたナノボットを開発した。このナノボットは、体液の中を精子のように最小限の抵抗で進むことができる。また、鞭毛の動力に、生きた細胞が使われているようだ。
再生医療の本命「iPS細胞」
iPS細胞が発表されて10年が経ち、着実に研究が進んでいる。心筋、網膜、血管への応用も実用目前だ。靱帯の再生や、美容への応用も進んでいる。
iPS細胞10年 進む再生医療・創薬研究、ハードルも:朝日新聞デジタル
株式会社 再生医療 iPS Gateway Center と慶應義塾大学医学部による共同研究開始のお知らせ - PRTIMES企業リリース - 朝日新聞デジタル&M
ヒト幹細胞培養液コスメ「オビアス」から待望の新ラインナップ登場 - PRTIMES企業リリース - 朝日新聞デジタル&M
まとめ
シンギュラリティの理論が提唱されてからも、技術はますます進歩を遂げている。革新を続ける技術分野の中でも、今回は「医療・ナノテクノロジー分野」について、近年のニュースをまとめてみた。
いずれも今後の展開が気になる、驚くべきニュースばかりだった。
それではまた。
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