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kyamanekoです。IT、思想、哲学、心理学などの記事を書いています。

おすすめ書籍 人工知能は人間を超えるか(松尾豊/角川Epub選書)

人工知能は人間を超えるか(松尾豊/角川Epub選書)

前から読みたかったので地元の図書館で探したら、なんと20人待ちだった。

こうなると意地でも読みたくなる。
と、そこでKindleで探したらお買い得価格になっていたので購入した。

以下の大賞で、ビジネス書部門のトップになっていたようだ。

ITエンジニア本大賞 2016技術書・ビジネス書部門大賞の発表! | 翔泳社


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目次

 

概要

人工知能学会の編集委員長を務める著者ならではの、冷静かつ幅広い知見に学ぶことができる、初心者におすすめの書籍だった。

人工知能に興味があるものの、『誇張や否定論のどちらかに偏った書籍は嫌だ』『何を買ったらいいのか分からない』『別の本を読んだがよく分からなかった』というような人におすすめできる。

僕の身の周りの方は、人工知能を過度に持ち上げるか、はたまたバズワードとして軽視するかのどちらかだった。

これを読んでもらえれば、いい意味で幻想や思い込みを壊して、人工知能の実態を学べるはずだ。

著者について

松尾 豊 (まつお ゆたか、1975年[1] - )は、日本の工学者。東京大学大学院工学系研究科総合研究機構、知の構造化センター、技術経営戦略学専攻の特任准教授[2]。香川県坂出市出身。専門分野は、人工知能、ウェブ工学、ソーシャルメディア分析。

松尾豊 - Wikipedia

本書よりピックアップ

本書の中で興味深かった点を紹介したい。

本書のテーマについて

人工知能が人間を征服するといった滑稽な話ではなく、社会システムの中で人間に付随して組み込まれていた学習や判断を、世界中の必要なところに分散して設置できることで、よりよい社会システムをつくることができる。それこそが、人工知能が持つ今後の大きな発展の可能性ではないだろうか。

この一文につきる。
著者の松尾氏は、人工知能に対する肯定的な見方と否定的な見方を受け入れた上で、人工知能を役立てて行こうという姿勢を貫いている。

人工知能を取り巻く情勢

著者は長年の研究の中で、研究過程にある人工知能の扱いを巡って悔しい思いをしてきたようだ。

他の研究者から軽視されたり、誤解をされたりした。
そのため、人工知能が現時点において、なんであってなんでないのか、はっきりさせておくことの重要性を説いている。

人工知能について報道されているニュースや出来事の中には、「本当にすごいこと」と「実はそんなにすごくないこと」が混ざっている。「すでに実現したこと」と「もうすぐ実現しそうなこと」と「実現しそうもないこと(夢物語)」もごっちゃになっている。それが混乱のもとなのだ。

こういうことだ。
同時に本書は、この混乱を解く一助になるはずだ。

ビジネスへの影響

ディープラーニングや人工知能がビジネスへ与える影響について言及されている。

『あと10~20年でなくなる職業と残る職業のリスト』

では、人間的な柔軟な判断を要する仕事が残るのに対して、単純な接客や事務が人工知能に置き換わることがわかる。

『人工知能が生み出す新規事業』 

の表では、あらゆる業種を拡張する形で、新しい事業が生まれることが示唆されている。

特徴表現学習の部分を特定の企業に握られたり、ブラックボックス化されたりすると、非常にやっかいなことになる。

との指摘通り、機械学習前のデータやパラメータが隠蔽されると、利用者はお金を払ってブラックボックスを利用し続けるしかない。

そのため、『機械学習に使うデータとパラメータを持つ企業が市場を独占していく』ことが懸念される。
それなのに、

日本には「機械学習の精度が上がると売上が莫大に伸びる」というビジネスモデルを築き上げている企業がほとんどない

ことで、日本の機械学習への取り組みが遅れていることが問題となってくる。

人工知能のレベル

本書では人工知能の使われ方に対して、4段階を設けて区別している。

レベル1、単純な制御プログラムを「人工知能」と称している

マーケティング的に人工知能と呼ぶだけで、実際は簡単な制御プログラムが埋め込まれているだけのレベル

レベル2、古典的な人工知能

多くの条件分岐のプログラムによって知能があるかのように振る舞うレベル

レベル3、機械学習を取り入れた人工知能

データを元にした、機械学習を組み込んだレベル

レベル4、ディープラーニングを取り入れた人工知能

特徴表現学習を行う、などの条件を満たした、ディープラーニングによる機械学習を組み込んだレベル

これらのレベルを意識すれば誤解を防ぎ、テクノロジーの実体を掴める。
「新製品のアレは、便利そうだけど本質的にはレベル1だな」とか、「クラウドサービスのアレは、機械学習を取り入れたレベル3相当だな」などと考えられるようになる。

ディープラーニングと特徴量

従来の機械学習とディープラーニングの最大の違いに、『特徴量抽出(特徴表現学習)』があることについて言及されていた。

従来は人間が判断しなければならなかった特徴の分析が自動化されることで、革命的な実用性を持たせられるのだ。
だからこそ、ディープラーニングを使ったgoogleの事例について、

「グーグルがネコを認識する人工知能を開発した」という一見すると何でもないニュースが、実は、同じグーグルが開発している自動運転車のニュースよりも、ずっと「本当にすごい」ことだとわかってもらえれば、本書はその役割を果たしたことになる。

などという説明がされている。

人工知能の知性

人工知能の知性や意識に関する話題として、『オントロジー(知識の記述と概念化)研究』『シンボル・グランディング問題』『フレーム問題』『ロボットの身体性』などの有名な課題に触れられていた。

いずれも、人工知能の今後を考える上でおさえておきたい概念だ。 

まとめ

今回は、『人工知能は人間を超えるか』について紹介させてもらった。
専門的な概念も含めて、本質的なことを分かりやすく読める入門書としてよいものだった。

しかし、『人工知能は人間を超えるか』というタイトルは間違っている気がする。
これだとどうも、ミーハーな陰謀論的な内容を想像してしまうのは僕だけだろうか。
『人工知能と機械学習の現実と展望』というタイトルに読み替えて、いざ読んでみよう。


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一年前の書籍ながら、本当に、早く読んでおきたかった。
これを読まずいきなり高度な書籍に当たったせいで、勉強や開発の時間を無駄にしてしまった。

今ならこれを超えるものがあると思うので、見つかり次第紹介する。

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