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kyamanekoです。IT、思想、哲学、心理学などの記事を書いています。

あなたの書評が今日から変わる! プロの批評術11選

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僕は数年間、書籍の批評を学ぶ講座に通っていた。

そこでプロの批評家から学んだ知識は、僕の読書生活を一変させた。

今回はみなさんに、僕が学んだ技術や考え方を紹介したい。

批評の勉強をするまで、僕に足りていなかったものを軸に整理したので、もし参考になることがあれば、取り入れてもらえるとうれしい。

 

批評の定義

今回は、あまり明確な定義はしない。批評に似たものとして、感想や書評や意見など、色々なスタイルがあると思うが、僕の中では同じ地平にある。目的によって文章量や味付けを変えるくらいの違いでしかないと思っている。

1.批評自体がひとつの作品という意識

批評はそれ自体がテキストとして独立しているため、単独で他人の目に触れるものだ。

そのとき僕らの批評は、多少なりとも読んだ人に面白がられなければならない。

小説でも、「ここがこう面白いから読んでみて!」というメッセージがないものは極めてつまらない。それと同じように、批評にも熱意が必要だ。

2.批評の目的を考える

検索エンジンに引っかけるだけのものなら、キーワードを羅列するだけもいいかも知れない。あるいは人間の心の琴線に引っかけるのなら、その目的を考えた方がよい。

例えば僕がこのブログで載せている読書感想=批評的なものについては、実は一度該当作品を読んだ人をメインターゲットにしている。

(未読者を無視しているわけではないが)

主に再読者に、ストーリーを思い返しながら、作品の深いメッセージに触れてもらいたいと思って書いているのだ。

そのため、未読者には重すぎることを覚悟で、作品の本質にせまるトピックを提示するようにしている。

もし未読者に書籍を売り込むための批評だとしたら、作品の話題性や直接的な面白さに焦点を当てるべきだろう。

3.むさっ苦しい専門用語を無理して引っ張ってこない

借り物の小難しい言葉を自分の文章に配置すると、途端にうさん臭くなる。

共感をしてもらえるようなことを、シンプルな自分の言葉で書けばいい。

また、専門用語を使わなければならないときは、あまり多くなりすぎないようにし、ほどよく解説しながら書いた方がいい。

プロの批評家などが、難しく思える言葉や専門用語を使うのは、単にそれが彼らにとって、身になじんだ精度の高い道具だからにすぎない。もし専門的な言葉を使いたければ、学術自体を学べば、心の中から自然と出てくると思うが、それで面白いものが書けるかは別問題だろう。

4.主観的な意見や感情的な意見を大事に

なにかを論じようと身構えると、どうしても客観的かつ普遍的なことを書かねばという気になってくる。

しかし、大切なのは「身に引き寄せた感覚的なもの」だったりする。

人は本を読むことで、結局は自分の体や心に訪れる良い変化を求めている。

だから、あなた自身の体や心が、作品に対してどう反応したのかを書くことは大事なことだ。

書く糸口がなかったら、おもしろかった、気持ち悪かった、などからはじまってもいい。そして、そのおもしろさや、気持ち悪さの質を微細に述べることで、あなたの感覚を共有することができる。本当に血の通った感覚表現であれば、そこに魅力と迫力が生まれる。

5.著者と対話する

著者のことを知ると、登場人物の考え方や、ちょっとした一文の意味を掘り下げることができる。

すると、作品に直接表現できなかった、深い意味などを感じとることができるようになる。

例えば、僕が以前に感想を書いた「デミアン」についても、ヘッセが作品を書いた背景を知ることで、「ユング心理学の影響を受けたヘッセが、自己を振り返りながら書いた作品」だということが感じとることができ、場合によっては作品の読み方が180度変わってくることもある。

作者の来歴や子供のころのエピソードを知ることも、より深く作品を知る一助となる。

6.時代と対話する

作品の書かれた時代を知ることは重要だ。

例えば、戦争や大きな災害があったりすると、その影響を受けずに書くことは難しい。

それに、執筆時期に主流となっていた思想などを知ることで、その作品の思想的な位置づけが分かる。

7.ジャンルを考える

その作品が、一般的になんというジャンルに属しているか考えると、ある作品ジャンルの中の位置づけが整理できる。例えば、「純文学にしてはストーリーに力がある」「ホラー小説の中では心理の掘り下げが深い」など、大きな作品の位置づけを定めて、批評の指針にすることができる。

8.ストーリーを考える

その作品がハッピーエンドなのか。バッドエンドなのか。

どこから話がはじまって、どこで終わっているのか。

こうしたストーリーの大枠を考えることで、構成自体の工夫を考察することができる。

9.文体や語り口を考える

一人称か二人称か三人称か。

人称を活用した特別な表現方法や仕掛けなどがあるか。

文体についてはドライかウェットか。明晰か幻想的か。

こうした語り口も、作品の特徴のひとつとなる。

特筆すべき点があれば話題にすることができる。

10.関連書籍を考える

似たような構成、似たような文体、似たようなテーマ、同じ作家の別作品に触れることで、読者にその書籍の位置づけを提示できる。また、似た作品との比較によって、より、該当作品の特徴がつまびらかになる。

その他、小説の主張を後押しするような文献なども紹介するといい。

11.引用をする

忘れがちだが、これは重要なことだ。

作品の主題になっている箇所。

個人的に好きだった箇所。

そういった一節を適度に引用することで、作品の魅力を伝える一助にできる。

まとめ

参考になっただろうか。

機会があれば、もっと細かく説明していきたい。

僕は今のところ、書籍を読むというのは、作者と対話することだと思っている。

例えば、世の中には様々な名言があり、ときに名言単体で論じられることがあるが、やはり重要なのは名言の文字列ではなく、名言の意味である。

ニーチェのことを知らなければ「神は死んだ」という言葉の意味が分からないように、書籍についても、本当に理解するためにはそれ相応の読み方をしなければならない。

(僕が「相応の読み方」をできているかは分からないが)多少なりとも本稿がみなさんの役に立てれば、これに勝る喜びはない。

おわり。




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