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ユング心理学入門(河合隼雄著)【第一章 タイプ】

 ユング心理学入門(河合隼雄著)【第一章 タイプ】

ユング心理学入門(河合隼雄著)を熟読してみる - 648 blog

というわけで、「<心理療法>コレクションⅠ ユング心理学入門(河合隼雄著)」の「第一章 タイプ」を読んでみた。

本章で僕が理解したことを、可能な限り詳述したい。

 

 

タイプ理論の概要

第一章は「タイプ」と題されている。

タイプ理論とは、「ある人間が内向型か外向型か」「ある人間がどういった価値基準を持っているか」をタイプ分類し、そのタイプを元に精神分析をしようという理論だ。

また、タイプ理論を使った分析では、「考えと実際の行動が違う問題」「自分と他人の考え方が違う問題」を受け入れて、より生きやすい自分になることを目標とする。

この理論の要点は、以下のようなものだ。

  • 西洋的な自己主張主義と合理主義はあくまでひとつのタイプであり、外向性だけが肯定されるわけではない
  • 内向的な人間も外向的な人間と対等に論じるべき
  • 便宜上タイプに分類するのだが、同時に人間の多様性を認め、機械的な分類の難しさも認める

 外向的な性格と内向的な性格

人間は、外向的な性格と内向的な性格に分けられる。

とはいえこの分類は、生涯を通じて絶対的にどちらかである、という話ではない。

むしろ、この性向は成長や環境の要因によって徐々に変化してゆく。

また、外向的な人間は、ふとした拍子に内向的な面が暴走することもあるし、その一方で内向的な人間は、ふとした拍子に外向的な面が暴走することがある。

  • 普段はおとなしいAくんが、気に入っているアイドルを馬鹿にされて怒り狂う
  • いつも元気なBくんが、彼女にフラれて、自殺でもしそうなほど落ち込む

といった具合に、「普段は支配的に出てくる側面の一方で、反対側の側面は抑圧され、矛盾の中でバランスをとっている」のが人間だということである。

四つの心理機能

 人間の性格は、「思考型」「直観型」「感覚型」「感情型」に分類できるとされている。

また、それぞれどの性格が支配的かによって、価値基準が変わってくる。

たとえば朝起きて外が晴れていた場合、感じ方にこんな違いがあるだろう。

  • 思考型「今日は天気だから傘はいらないな。いや、午後は降るのか?」
  • 直感型「そうだ! 今日の昼飯は中華にしよう」
  • 感覚型「昨日よりも空の青味が深いな。雲の質感はふんわりしてきている」
  • 感情型「なんか気持ちいい」

といった具合に、型によってもののとらえ方はさまざまだ。

そして四つの型は、前述の二分類と組み合わされ、「外向的感覚型」「内向的直感型」などとして、人間性をより細かく分類することができる。

心理機能の詳細

四つの心理機能の詳しい内容を以下にまとめる。

思考

あるできごとから、概念的な連想を行っていく心理機能。

外向的思考型

一般的な事実や常識に従って行動しようとする。組織のルールづくりや、有益な活動の実践が得意。

反面、非合理的なことを避け、芸術や趣味、友達づき合いを軽視する。

内向的思考型

主観的かつ内省的な理論を重視する。深い思索による独創的な思想などを生み出す。

反面、独りよがりに陥りやすく、他人に自分の考えや気持ちを伝えることを軽視する。

感情

「快、不快」「好き、嫌い」などの印象を認識する心理機能。

外向的感情型

周囲の人々が認めるものを認め、周囲の人々が否定するものを否定する。つまり、協調性を重視する。ムードメーカーであり社会の潤滑油となる。

反面、周囲の影響を受けすぎて、価値観がすぐに変わったり、個性が希薄となることがある。

内向的感情型

自分の感情をあまり表に出さないが、内面に深い同情心や感動を持っている。周りの意見よりも、自らの感情を重視する。その集中力と気持ちの強さで、高い芸術性や宗教性を発揮する。

反面、お世辞や社交辞令が苦手で、ときに秘めた激情が暴走して自他を傷つける。

感覚

生理的刺激を知覚に仲介する心理機能。

外向的感覚型

一般的な人の感覚を理解し、他人を喜ばせる言動や環境を提供する。ファッション分野や音楽分野や建築分野など、外的な感覚の世界で能力を発揮する。

反面、外面を飾ることや、その場を楽しむことにこだわりすぎると、享楽主義に陥ることがある。

内向的感覚型

外界からの知覚を、主観によって受け止めるため、ものの感じ方が一般とは異なる。(たとえば、美しい花畑を観て、炎の燃えさかる恐ろしい光景と感じる、など)

コミュニケーション能力や創造性を持つことで、芸術的な能力を開花させられる。

反面、ものの感じ方が他人と違うことに戸惑い、孤独になりがちである。

直感

無意識を経由した背後の可能性を知覚する機能。

外向的直感型

現実の価値ではなく、競馬や株、人材発掘など、未知の可能性を求めることを重視する。

外界に興味を持ち、冒険心を発揮する。

反面、さまざまな可能性を追いすぎて集中力が散漫となり、収穫を得られないことがある。

内向的直感型

自分の内界にイメージを巡らせ、それを追求する。

思考機能や感情機能を補助として表現する手段を見つければ、芸術家、思想家、宗教家的な才能を発揮する。

反面、他人から理解されず、自分の独創性に悩むことが多い。

心理機能の対立関係

四つの心理機能には対立関係がある。

直感型<>感覚型

思考型<>感情型

という対立構造になっている。

たとえば、直感型の人(直感で物事を考える人)は、感覚型(事物の様子や本質を細かく知覚しようとする)の能力に劣っているし、

思考型の人(理論的に物事を考える人)は、感情機能(自分がどう感じたかを中心に考える)の能力に劣っているとされている。

こうした、弱点となっている面を、「未分化(未発達)な機能」と呼ぶ。

また、自分を制御できず感情的になるような反応を、「未分化(未発達)な反応」と呼ぶ。

心理機能の相補性

ある人にとっての心理機能は以下の三種類に分類される。

  • メインの型が一つ(主機能)
  • サブの型が二つ(補助機能)
  • 弱点の型が一つ(劣等機能)

主機能と劣等機能の関係は、前述したとおりだ。

さらにそこへ、劣等機能以外の二つの機能が、主機能をサポートする形で作用する。

心理機能説明画像1

上図は、「直感」が主機能にくる人の、各機能の配置である。

(実際はさらに、内向型、外向型の概念がかぶさってくるが)

直感が主機能なので、基本的にこの人は、ものごとに対して分析的にではなく、無意識的な思いつきで対処する性格ということになる。

それと同時に、思考と感情の能力を補佐的に使って生きているということになっている。

また、感覚が劣等機能となっているため、ものごとを正確に知覚することを軽視したり、苦手だったりするはずだ。

そのため、この人が精神的な成長をするためには、思考と感情を訓練しつつ、最終的には感覚を訓練する必要がある、という分析ができる。

なお、実際の人間の場合は、多少のずれがある場合が多い。

以下は、直感が主機能ではあるが、感情よりも思考が顕在化している例だ。

心理機能説明画像2

この場合、前述の図のケースにくらべ、感情よりも思考が優位となっていると言える。

日本人の気質

第一章の締めくくりには、こんなことが書かれていた。

なお、日本で、ユングの考えをそのまま適用できるか否かにも疑問が残る。これは、西洋において、意識の態度(自我)が非常に重視されるのに対して、東洋では、意識のみならず、心を全体としてとらえる態度が強く、むしろ、未分化な全体性を尊ぶ傾向が強かったので、ユングのいうような一つの心理機能の発達ということが存在しがたいと考えられるからである。

と、こんな具合である。

なるほど、日本人は寡黙を美徳とし、和をもってよしとしているように考えられる。

そういった、和を尊重する僕らの社会においては、内向型にしても外向型にしても、偏り自体がよくないものとされることがある。

また、仏教に中道という概念があるように、いかに個性を中和して、バランスよく生きるかが求められもしている。

そういう意味では、このタイプ理論の解釈と運用は難しいものに違いなく、各自が人生の中で考え続けなければならないことかも知れない。

まとめ

今回はユング心理学入門(河合隼雄著)の「第一章 タイプ」を僕なりに読み込み、可能な範囲で解説した。

これからの理論の基礎であるとともに、タイプ理論だけでも十分興味深いものだった。

それでは引き続き。

続きはこちら

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